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 地域資源紹介

江戸和笛

江戸和笛

■指定されている場所: 足立区

江戸和笛は、江戸時代から続く獅子田流篠笛の伝統を受け継ぐ和笛のこと。篠笛は横に構えて吹く横笛の一種で、古来より祭りや歌舞伎などで庶民に親しまれてきた竹管楽器です。

現在は、獅子田流を受け継ぐ大塚竹管楽器(足立区入谷)の4代目笛師・大塚敦氏と大塚美智子氏がすべて手作業で製作しています。

篠笛は流派により音色が異なり、獅子田流は低音域から高音域までよく出て、特に祭礼において喧騒の中でも高音域がよく鳴り響くと定評があります。三社祭(浅草神社例大祭)、岸和田だんじり祭、青森ねぶた祭、徳島市阿波おどりなど、全国に愛用者がいます。

獅子田流篠笛のルーツ


江戸時代末期、宮内庁雅楽団であったと言われる「獅子田」という名の篠笛の名工がおりました。その素晴らしい楽器を後世に伝えるべく、大正3年、中村甚五郎氏が獅子田流笛師・新山氏へ弟子入り。10年間の修行を経て、獅子田の印を押すことを許され、獅子田流篠笛製作を継承。大塚竹管楽器の前身となる中甚を立ち上げました。平成8年、大塚敦氏が3代目に弟子入りし、現在へと受け継がれています。
獅子田流の技術・材料・道具は門外不出のところが多く、獅子田流の本家は現在の大塚竹管楽器のみとなっています。


製作工程


篠笛を作る大きな流れとして、まずは竹の節と節の間を切って寸法取りをします。次にそれを洗って天日干しを行い、その後は倉庫で寝かせます。保管した竹が四季を経ることで、竹が少しずつ痩せていきます。途中で割れたものは省き、安定したものを加工します。寝かせる期間はおよそ5年から10年です。

そこから穴あけ・音調整・籐巻などの加工を行いますが、シンプルなデザインのもので60工程に及びます。



獅子田流篠笛の種類

大塚竹管楽器が製作する獅子田流篠笛は、大きく3つの種類があります。

ひとつは、祭囃子や神楽などで奏でる古典調。もうひとつが、歌舞伎囃子の三味線との相性を考えて調律した邦楽調(唄用)。そして3つ目が、洋楽器との合奏に適した洋楽調(ドレミ調)です。

ドレミが奏でられる洋楽調は、これまで和楽器に馴染みがなかった方にも普及し、流行曲を演奏したり、ピアノなどの洋楽器と合わせたりしています。


現在の課題と将来への取り組み

かつて日本人の生活必需品だった竹の需要が減っていく中、国内の竹産業が衰退し、太さや節間の長さなど厳しい規格が必要な篠笛用の竹を仕入れるのが困難になりました。現在は、大塚氏自らが竹林を持つ地主と交渉し、山に入って獅子田流篠笛に適した竹を探して伐採しています。

また、少子化などにより、旧来の祭りが続けられない地域もでてきています。そんな時代において、篠笛の需要の発掘も欠かせません。大塚竹管楽器宣伝キッチンカーで食事と篠笛を楽しんでもらえる場を設けたり、足立区観光交流協会が主催する「舎人公園 千本桜まつり」で篠笛チンドン屋が演奏を行ったり、足立区役所や大型商業施設で製品を展示したりし、篠笛の魅力を広めています。さらに、篠笛教室もオープンに向けて準備しています。

笛師の仕事はこれまで作ることに集約されていましたが、現在は製作に加え、素材の確保・宣伝・販売など多岐にわたります。また、5代目への継承に向けての取り組みも進めています。

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