西東京市産スイーツキャベツ
■指定されている場所: 西東京市
武蔵野台地のほぼ中央に位置し、古くは江戸への農産物の供給地として農業が発展してきた西東京市。現在もさまざまな品種の野菜や果物が栽培されており、キャベツの生産量は多摩地域で1位を誇っています。特に近年は、一般のキャベツに比べて糖度が高いスイーツキャベツの栽培が始まり、「イチゴ並みに甘い」と市内や近隣エリアで評判となっています。
スイーツキャベツを使った料理。上から「キャベツと手羽元のほっこりポトフ」「キャベツのキッシュ風」「やみつきスイーツキャベツ」(レシピ提供:JA東京みらい)
スイーツキャベツの収穫時期は、12月初旬から2月初旬。一般にキャベツは苗を植えてから3ヶ月ほどで収穫されますが、スイーツキャベツはさらに1ヶ月ほど長く栽培します。するとキャベツが冬の寒さから身を守ろうと「でんぷん」を「糖」に変え、凍えないようにすることから糖度が増すと言われています。スイーツキャベツと認定されるための糖度は9度(12月は8.5度)以上。最高糖度は12度以上にも達し、まさにスイーツのような甘さを楽しめるキャベツとなります。えぐみがなく、熱を加えることでより甘さが増すスイーツキャベツは、ポトフや味噌汁、炒め物、餃子などの料理によく合います。現在は主に西東京市内のJA(農業協同組合)の直売所などで販売されており、店頭に並ぶと、すぐに完売してしまうほど人気が高まっています。
キャベツ畑に並ぶスイーツキャベツ
スイーツキャベツは、2015(平成27)年に都産野菜の新ブランドとして登場しました。もともとキャベツの産地である西東京市の農家は、キャベツの基本的な栽培技術を持っていました。加えてキャベツは12月には収穫が終了してしまうため、12月初旬から本格的な収穫が始まるスイーツキャベツは端境期対応として栽培されるようになりました。
スイーツキャベツは、芯を切ると甘い匂いが漂うため、ヒヨドリなどが群がり食い荒らしてしまいます。このため防鳥ネットを張るなど鳥害対策が欠かせません。また栽培期間が長いので、肥料の量や、熟し過ぎによる病気の発生に気を配る必要があるなど栽培が難しい一面もあります。こうした対応に苦慮しながらも、西東京市では人気が高いスイーツキャベツを栽培する農家が年々増えています。
直売所にならぶスイーツキャベツ
スイーツキャベツの生産農家は、JAの直売所などで試食を行い、味の違いをアピールするほか、新聞などメディア取材を受けることによりPRに努めています。さらに後継者育成にも力を入れ、西東京市が主催する「農のアカデミー体験実習農園」に指導農家として参加し、農業に興味を持つ市民にスイーツキャベツの魅力を伝えています。
西東京市農産物キャラクター「めぐみちゃん」
さらに西東京市では、農業振興や地域経済活性化を目指す「めぐみちゃんメニュー事業」を実施し、農業従事者と飲食店経営者をマッチングする取り組みを展開。この事業の一環として、地産地消や市内農産物を周知するためのマルシェの開催や、ツイッターなどSNS上での情報発信により、スイーツキャベツを始めとした市内産農産物の魅力を伝えています。