村山かてうどん
■指定されている場所: 武蔵村山市
武蔵村山市の名物「村山かてうどん」は、別名「村山うどん」とも呼ばれています。古くは農家の日常食でしたが、 近年は村山かてうどんを提供するうどん店が増え、武蔵村山を訪れた人たちが地元の郷土料理として楽しむこともできます。赤小麦の表皮が入った茶色または灰色の麺で、うどん粉には武蔵村山で生産された地粉も配合されています。豚肉を加えた温かい醤油味のつけ汁に、冷水で締めたうどんを浸け、茹でた地野菜とともに食べる「肉汁うどん」が定番です。
江戸時代から武蔵村山市(当時の村山村、中藤村、三ツ木村)やその周辺で食べられていた伝統食です。武蔵野台地は稲作には不向きでしたが、その代わり古くから小麦の生産が盛んで、地元で穫れた小麦を製粉した地粉を用いてうどんを作る習慣がありました。
武蔵村山市の小麦畑
村山かてうどんの手切り
村山かてうどんの「かて」とは、主にうどんに添える地元の野菜を茹でたもののことで、「糧(かて)」という言葉から来ています。都内でも生産量の高い小松菜をはじめ、季節に応じてほうれん草やナスなど茹でた野菜を添えるのが一般的です。最近ではうどんと相性のよい揚げ物が添えられることもあります。つけ汁には豚バラ肉が使われますが、小松菜に多く含まれるカルシウムは、タンパク質を多く含む豚肉と一緒に食べると吸収率が高まります。また小松菜にはビタミンや鉄分も多く含まれ、動脈硬化、ガン、貧血の予防に役立つともいわれています。豚肉に多く含まれるビタミンB1 は、疲労回復などの効果もうたわれています。このように、たくさんの栄養を一度に取ることができるのも村山かてうどんの長所のひとつです。村山かてうどんを提供するお店は、それぞれ麺やつけ汁に工夫が凝らされており、村山かてうどんのファンは、味の違いを楽しんでいます。
武蔵村山市では、食育のために地元の学校給食で村山かてうどんが提供されています。さらに小中学校や地域団体でうどん打ちの体験教室も開かれており、村山うどんの会が出張して講師を務めています。また、村山かてうどんは秋田県湯沢市で行われている「全国まるごとうどんエキスポ」に例年参加しており、2017(平成29)年と2019(令和元)年に全国第3位を受賞しています。
地元の小学校で開催されたうどん教室
全国まるごとうどんエキスポにおける出店の様子
画像提供:村山うどんの会